岡谷市出身の版画家 増沢荘一郎(1914-1985)は、終戦直後の1946年に武井武雄が岡谷市の郷里で有志とともに設立した文化団体 双燈社の版画部会で、武井から版画を学びました。そして小学校教師をしていた増沢は、当時は専ら大人が制作していた版画を学校教育にも取り入れ、子どもたちでも制作できる技法を考案し、版画教育を推進しました。
また、地域での社会人に向けた版画講習にも取り組みました。1962年から岡谷市公民館成人学校で版画講師を務め、その修了生たちが「信濃刀画の会」を発足し、増沢は初代講師として迎えられます。さらに、県下で制作する多くの版画作家たちに発表の場を提供するため、1975年に信州版画協会展を有志とともに立ち上げるなど、生涯を版画の教育普及に努めました。
増沢は、自らが住んでいた諏訪地域の風物や人の暮らしなどを、白黒や色刷りの木版画で表しました。そこには、諏訪湖の穴釣りや茅葺き屋根の民家、野良着姿の人々など、今では失われた昭和の光景を見ることができます。
また、増沢は細部にとらわれず勢いよく木版を彫り進め、それによって力強く素朴な味わいが現れています。本展では、懐かしさや素朴さを感じさせる増沢の木版画を、近年新しく収蔵した7点の大型版画作品を交えてご紹介します。
会期:令和7年4月18日(金)~6月8日(日)
休館日:毎週水曜日、祝日の翌日
開館時間:10:00~18:00
入館料:一般420円(290円)、小・中学生180円(120円)
※( )は10名以上の団体料金
※諏訪6市町村に在住・在学の小・中学生、岡谷市内に在住・在学の高校生は無料です