令和7年度特別企画展「辰野登恵子展 どこにでもあるものたちのどこにもない世界」

絵画の可能性を追求し、常に新しい挑戦を重ねて日本の現代美術を牽引してきた画家 辰野登恵子(1950-2014)。辰野は油彩やさまざまな技法の版画でよく知られていますが、ドローイングも多数制作しています。本展では主にドローイング作品に焦点を当てて展示いたします。
辰野はどこにでもあるような何気ないものから着想を得て、美しい色や印象的な形が織りなす独創的な絵画を制作しました。たとえば油彩画は、透明の油絵の具が何層にも塗り重ねられ、輝くような色や、不思議な奥行きのある空間、温かみのある絵肌が特長です。また、版画はさまざまな版種を駆使し、それぞれの持ち味を存分に生かしています。これらはいずれも試行錯誤を繰り返し、完璧な画面へと練り上げられていった作品です。
一方、ドローイングには、これらの作品の原型ともいえる側面があります。パステルや鉛筆などを使い、のびのびとしたスピード感のある筆致で描かれ、思い浮かべた形や色をいち早く描き留めたかのようです。まるで辰野が描いている光景が目の前に現れるかのような、新鮮な魅力を持っています。
本展では、そうした辰野のドローイング作品を油彩や版画と併せて展示し、ドローイングならではの魅力をご紹介します。

 

会期:令和7年8月21日(木)~10月19日(日)

休館日:毎週水曜日、祝日の翌日

開館時間:10:00~18:00

入館料:一般580円(420円)、小・中学生290円(180円)

※( )は10名以上の団体料金

※諏訪6市町村に在住・在学の小・中学生、岡谷市内に在住・在学の高校生は無料です

 

◆関連イベント

講演会「辰野登恵子 ドローイングと絵画」

講師:南 雄介 さん(美術評論家、キュレーター)

日時:9月20日(土)午後1時30分~

申込不要、要入館料