篆刻の鬼才 八幡郊処

IMG_1100岡谷市西堀出身の篆刻家、八幡郊処(一八六六~一九三二)
少年時代、私塾を開いていた従兄の八幡氷湖に学び、漢学の素養を身につけます。のちに上京し、篆刻の大家、五世 浜村蔵六に師事しました。
心のままに各地を遊歴し、一年あまり帰らないこともあった。あるいは、訪れる文人墨客と酒を酌み交わし、陶芸や詩作をする。まさに「生活全部が詩」というべき人物でした。
郊処の生まれ育った西堀は、多くの文人や芸術家を輩出した特色ある土地柄です。郊処の学んだ氷湖塾のほかにも、童画家、武井武雄の生家で開いていた私塾「無事庵」があり、学問を好む気風が育まれていました。西堀の文化的気風の中に生きた郊処は、武井武雄や彫刻家、武井直也といった次世代の芸術家に影響を与えることにもなります。

このたび、郊処について調査している嶋 不濁氏・八幡 兵吉氏により、郊処が天竜峡名産の尾林焼の開発に携わったこと、篆刻印の制作を通じて夏目漱石や中村不折ら名士との交流があったことなど、今までほとんど知られてこなかった事実が明らかにされてきました。本展では、お二人の調査結果とともに、ご遺族からお借りした印譜などの資料を展示し、これまであまり知られてこなかった郊処の活動をご紹介します。

期間:5月3日(木・祝)~6月24日(日)

※ 6月1日(金)~6月11日(月)は中断いたします

時間:10:00~19:00

場所:岡谷美術考古館1階 交流ひろば

入場無料